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車が全損になったらどうする?保険金の仕組みと損しない「次の一手」

事故のあと保険会社から「全損です」と言われると、頭が真っ白になる人がほとんどです。修理できるのか、保険金はいくら出るのか、次の車はどうするのか——一度に考えなければならないことが多すぎます。

この記事では、全損の種類と保険金の決まり方、そして全損と言われたあとに損しないための動き方を整理します。

※本ページはプロモーションを含みます。

目次

「全損」には2種類ある

全損と聞くと「車がぺしゃんこ」のイメージですが、実際には2種類あります。保険の手続き上、どちらに該当するかで受け取れる保険金の考え方が変わります。

物理的全損

車が完全に壊れて修理不能な状態です。フレームが大きく歪んだ、水没して電装系が全滅した、火災で焼けたといったケースが該当します。物理的に直せないので、車両保険の保険金額(時価額ベース)が全額支払われます。

経済的全損 — 実際はこちらが多い

修理自体は可能だけど、修理費が車の時価額を超える状態です。たとえば時価額50万円の車に修理費80万円かかるなら、保険会社は「経済的に修理する意味がない」と判断し、時価額の50万円だけを支払います。差額の30万円は自腹です。

年式が古い車ほど時価額が下がるため、経済的全損になりやすくなります。NB8Cロードスターのような旧車だと、板金で直せる程度の損傷でも「全損」と言われることがあります。直せるのに直す費用が出ないのは、正直つらいものです。

保険会社はどうやって「時価額」を決めるのか

時価額は「同じ車種・年式・走行距離・グレードの中古車を、今の市場で買うといくらか」で決まります。保険会社が参照するのは主に次の資料です。

  • レッドブック(有限会社オートガイド社):中古車の標準的な小売価格を車種・年式・グレード別に掲載した業界の定番資料
  • イエローブック(一般財団法人日本自動車査定協会):同様の価格情報をまとめたもの
  • 中古車販売サイトの相場:カーセンサーやグーネットなどで実際に売られている同等車両の価格

ここで問題になるのが、レッドブックの価格と実際の中古車相場にズレがあるケースです。特に人気車種や希少車は、市場価格のほうがはるかに高いことがあります。レッドブック上は30万円でも、実際に同じ車を買おうとすると80万円——こういったことは旧車・趣味車では日常茶飯事です。

「全損扱い」に納得できないときの対処法

保険会社の提示額に納得できないときは、交渉の余地があります。「全損=終わり」ではありません。

時価額の根拠を確認する

まず保険会社に「この時価額はどの資料に基づいていますか?」と確認してください。レッドブックの金額をそのまま使っているケースが多いですが、金額の算出根拠を示す義務が保険会社にはあります。

同等車両の販売価格を自分で集める

カーセンサーやグーネットで、自分の車と同じ車種・年式・走行距離帯の販売価格をスクリーンショットで保存しておきます。5〜10台分の実売価格を提示すると、「実際にはこの金額でないと同等の車が手に入りません」という交渉材料になります。

もしも私がNB8Cで被害に遭ったときは、同等車両の販売データを揃えてから交渉に臨みます。レッドブック価格と市場価格の差が大きい車ほど、この準備が効いてきます。

それでも折り合わないとき

交渉がまとまらない場合、そんぽADRセンター(損害保険紛争解決サポートセンター)という第三者機関に相談できます。損害保険会社は、ADRセンターの紛争解決手続きに応じる義務があります。裁判より手軽で費用もかかりません。

買い替えの際に保険金で足りない分をカバーする方法

経済的全損では保険金だけで同等の車を買い直せないことがほとんどです。不足分をカバーするための手段をいくつか整理します。

車両新価特約(車両新価保険特約)

新車購入から一定期間内(保険会社によって異なりますが、多くは初度登録から1年〜3年程度)であれば、全損時に新車の購入費用相当額を補償してくれる特約です。新車を買ったばかりの人にとっては非常に心強い特約ですが、新車購入時にしか付けられないことが多く、中古車や旧車には使えません。

もらい事故なら「対物超過修理費用」の請求を

自分に過失がないもらい事故で全損になった場合、相手の対物超過修理費用特約から差額が出ることがあります。修理費が時価額を超えた差額(上限50万円の会社が多い)を補填する特約で、相手が加入していれば請求できます。ただし、修理することが前提の特約なので、修理せずに保険金だけ受け取る場合は対象外です。

事故車を売却して資金に上乗せする

全損と言われた車でも、廃車にしなければ売れる可能性があります。エンジンやミッションが無事なら部品としての価値がありますし、海外市場では日本車の事故車にも需要があります。

つまり、「保険金+事故車の売却金」を合わせて次の車の資金にできるということです。保険金だけでは足りなくても、事故車に10万〜20万円の値がつけば、選択肢はかなり広がります。

事故車がどの程度の金額になるかは損傷の度合いや車種によって大きく異なるので、廃車を決める前に一度、事故車専門の査定を受けてみることをおすすめします。

carview事故車一括査定は、複数の事故車買取業者にまとめて査定依頼ができるサービスです。廃車費用を払う前に、まず値段がつくかどうかだけでも確認しておくと判断しやすくなります。

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保険金を受け取ったあとの選択肢を整理する

全損で保険金を受け取ったあと、大きく3つの動き方があります。それぞれメリット・デメリットが異なるので、自分の状況に合った判断をしてください。

1. 保険金で修理する(経済的全損の場合)

経済的全損でも、差額を自腹で出せば修理は可能です。その車に強い思い入れがある場合や、同じ車が中古市場に出回っていない場合は、修理する判断もあり得ます。ただし、修復歴がつくため将来の売却額は下がる点は覚悟しておく必要があります。

2. 修理せずに保険金を受け取り、次の車を買う

保険金は修理に使わなければならないという決まりはありません。車両保険の保険金は使途自由です。修理する気がなければ、保険金をそのまま受け取って次の車の購入資金に回せます。

この場合、手元に残った事故車をどうするかが次の問題になります。廃車にすれば処分費用がかかり、放置すれば駐車場代がかさみます。売れるなら売るのが合理的です。

3. 保険金+事故車の売却金を合算して次の車へ

最も合理的な動き方です。保険金で足りない部分を事故車の売却金で補えれば、持ち出しを最小限に抑えて次の車に移行できます。

具体例で考えてみます。

  • 時価額(保険金):50万円
  • 事故車の査定額:15万円
  • 合計:65万円 → これが次の車の頭金になる

保険金50万円だけだと厳しくても、65万円あれば中古車の選択肢がかなり広がります。事故車の売却額が大きいほど効果は大きくなるので、複数の業者に査定を出すのがポイントです。

全損で保険を使うと等級はどうなる?

車両保険を使うと原則として3等級ダウンし、翌年から3年間は「事故有」の割増保険料が適用されます。年間数万円の負担増になるので、保険を使うかどうかは修理費との兼ね合いで判断することになります。

ただし、全損レベルの損害であれば迷う余地は少ないでしょう。数十万円の保険金と数万円×3年の保険料増を比べれば、保険を使ったほうが圧倒的に得です。

なお、もらい事故(自分の過失がゼロ)の場合は相手の保険で支払われるため、自分の等級は下がりません。自分の車両保険を使う場合のみ等級が下がります。等級の仕組みについて詳しくは自動車保険の等級とは?事故でどれくらい保険料が変わる?で解説しています。

車好きほど全損がつらい理由

量産車であれば保険金で同等の中古車を探すことも比較的容易です。しかし、趣味車や旧車は話が違います。

私が乗っているNB8Cロードスターのような生産終了車は、時価額が低いのに市場価格は高い。保険金50万円をもらっても、同等のNB8Cを50万円で買うのはほぼ不可能です。しかも年々タマ数が減っていくので、「次」が見つかる保証もありません。

こういう車に乗っている人ほど、車両保険の保険金額の設定を見直しておくことが大切です。契約時に時価額を上げられるかどうかは保険会社との交渉次第ですが、少なくとも「全損になったら保険金はいくら出るのか」を把握しておくだけで、万一のときの動きが変わります。

古い車・趣味車の車両保険の考え方については古い車に車両保険は必要?修理費・時価額・趣味車で考えるで詳しく書いています。

全損後にやることリスト

全損と言われたあと、具体的に何をすればいいかを時系列で整理します。

  1. 保険会社に時価額の根拠を確認する:レッドブックの金額か、市場相場を反映しているかを聞く
  2. 同等車両の販売価格を調べる:カーセンサー・グーネットで5〜10台分のスクリーンショットを保存
  3. 時価額に納得できなければ交渉する:販売データを根拠に提示額の引き上げを求める
  4. 修理するか・しないかを決める:修理費と時価額の差額を自腹で出せるか、修復歴のデメリットを許容できるかで判断
  5. 事故車の査定を受ける:廃車を決める前に、事故車専門の買取業者に見積もりを取る
  6. 保険金+売却金で次の車の予算を確定する:合計金額から購入予算を逆算する

この順番を守ることで、焦って廃車にしてしまったり、保険金の交渉をしないまま受け入れてしまったりするリスクを減らせます。

まとめ|全損は「車を失う」だけで終わらせない

  • 全損には「物理的全損」と「経済的全損」の2種類がある。多いのは修理費が時価額を超える経済的全損
  • 保険会社が提示する時価額は交渉の余地がある。中古車相場のデータを集めて根拠を示すことが大切
  • 保険金は修理に使わなくてもよい。次の車の購入資金に充てることも可能
  • 全損になった車でも売れる可能性がある。保険金+売却金を合わせれば次の車の選択肢が広がる
  • 廃車を決める前に事故車の査定を受けること。値段がつかない前提で動くのはもったいない

事故による全損は突然やってくるので、冷静に判断するのが難しい場面です。
でも、保険金の交渉・事故車の売却・次の車選びをひとつずつ進めれば、金銭的なダメージは最小限に抑えられます。

なお、保険金の支払い条件や時価額の算定方法は保険契約ごとに異なります。具体的な手続きは契約先の保険会社に確認してください。

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