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「自動車保険にロードサービスが付いているのに、JAFにも入る意味はあるのか」。車好きなら一度は考えるテーマだと思います。
おもしろいのは、この比較を保険会社自身がやっていることです。ソニー損保にもアクサダイレクトにもチューリッヒにも「他社ロードサービスとの比較」ページがあり、SBI損保に至っては各社比較表をPDFで公開しています。それだけ「どこのロードサービスが手厚いのか」を気にして契約先を選ぶ人が多い、ということでしょう。
ただ、当事者が作る比較表は当然ながら自社が有利に見える切り口で作られます。そこでこの記事では、JAFと主要7社の公式サイトだけを見て、同じ項目を横に並べ直しました。バッテリー上がり・パンク・スペア交換・キー閉じ込み・ガス欠・雪道・落輪・レッカー距離・宿泊・帰宅・回数制限の11項目です。
比較したのは、JAF/ソニー損保/SBI損保/アクサダイレクト/三井ダイレクト損保/東京海上ダイレクト(旧イーデザイン損保)/チューリッヒ/おとなの自動車保険(SOMPOダイレクト)。すべて2026年8月時点の公式サイト記載にもとづいています。
先に結論|JAFと保険付帯は「同じものの上位互換/下位互換」ではない
全部の項目を並べ終えて、あらためてはっきりしたことがあります。
- レッカー距離と「お金の補償」は保険が圧勝
多くの会社が提携工場まで距離無制限、自分で指定する工場でも100km前後まで無料。宿泊費・帰宅費を実費で払ってくれる会社もある - 「作業そのものの守備範囲」と「回数」はJAFが圧勝
保険の応急作業はほとんどが保険期間中1〜3回までで、パンクの応急修理・チェーン脱着はそもそも対象外の会社が多い - そして決定的なのが対象範囲
保険は「契約したその車」にしか使えず、JAFは「会員本人」に付く。友人の車、レンタカー、バイク、家族の別の車まで会員証1枚でカバーされる
つまり両者は守備範囲が違う道具で、「どっちが上か」ではなく「自分の穴はどっちで埋まるか」で考えるものです。この記事の表は、その穴を見つけるために作りました。
比較の前に|「無料」の意味が会社ごとに違う
表を読む前に、3つだけ前提を押さえておきます。ここを知らないと数字だけ見て誤解します。
1. 「レッカー距離無制限」はたいてい“保険会社が指定する工場まで”
各社が大きく掲げている「距離制限なし」は、ほぼ例外なくその保険会社(またはロードサービスセンター)が指定する最寄りの修理工場までという条件付きです。「いつもの主治医のところへ運んでほしい」と言った瞬間に、50km・100km・150kmといった上限が顔を出します。
旧車や趣味車に乗っていると、この差はかなり効きます。ディーラーや量販店ではなく、いつもの工場に入れたいからです。比較で本当に見るべきなのは「自分で指定した工場までの距離」のほうだと思っています。
2. 事前連絡が必須。自分で業者を呼ぶと対象外
どの会社も「必ず事前にロードサービス窓口へ連絡してください。ご自身で業者を手配された場合は対象になりません」と明記しています。パニックになって近くの整備工場に電話してしまうと、全額自己負担です。連絡先はスマホに入れておくべきです。
3. ロードサービスを使っても等級は下がらない
ソニー損保・チューリッヒ・東京海上ダイレクトなどが公式に明記していますし、おとなの自動車保険はロードアシスタンス特約のみの使用を「ノーカウント事故」と説明しています。翌年の等級・保険料に影響しません。ここを誤解して使わずに自腹を切る人がいますが、もったいない話です。
レッカー距離の比較|自分で工場を指定できる距離を見る
| 会社 | 指定・提携工場まで | 自分で指定した工場まで | 備考 |
|---|---|---|---|
| JAF | — | 20kmまで無料 | 超過分は1kmごと830円。2024年4月に15km→20kmへ拡大 |
| ソニー損保 | 距離無制限 | 100km | 利用回数の制限なし |
| SBI損保 | 距離無制限 | 50km(プレミアムは150km) | レッカー業者による48時間以内の保管も無料 |
| アクサダイレクト | 距離無制限 | 150km(二輪・原付は100km) | ダイレクト型では最長クラス |
| 三井ダイレクト損保 | 距離無制限 | 100km(JAF会員は120km) | EVの電欠は充電スポットまで無制限 |
| 東京海上ダイレクト | 距離無制限 | 100km(JAF会員は120km) | 48時間を超える保管料は自己負担 |
| チューリッヒ | 距離無制限 (事故のときのみ) | 100km | 故障で呼ぶ場合は実質100kmが上限 |
| おとなの自動車保険 | 応急処置と合わせて1回15万円まで | 同じ枠(普通車で約180kmが目安) | ロードアシスタンス特約をセットした場合のみ |
数字だけ見ればアクサダイレクトの150kmが頭ひとつ抜けています。ただ個人的に注目したいのは、おとなの自動車保険だけが「距離」ではなく「金額」で切っている点です。15万円という枠の中なら、クレーン作業でも、タイヤ2本以上の脱輪引き上げでも、1m超の落ち込みでも面倒を見てもらえます。他社が「対象外」「自己負担」と書いている領域が、金額枠の中に入っているわけです。
そしてチューリッヒの「距離無制限は事故のときのみ」という注記。故障で呼ぶことのほうが多い旧車乗りにとっては、実質100kmと読んでおくのが正解です。こういう脚注こそ、比較表では消えがちなところです。
いっぽうJAFの20kmは、単独で長距離レッカーを期待するには短い。峠やサーキットまで遠征する人ほどここは正直に見ておいたほうがいいです(峠・サーキット遠征で車が壊れたときの現実的な対策)。逆にいえば、長距離レッカーは保険、現場作業はJAF、という役割分担が数字の上でもはっきりしています。
バッテリー上がり・パンク・キー閉じ込み・ガス欠の比較
いちばん使う可能性が高い4つです。ここは「できるかどうか」より「何回できるか」が争点になります。
| 会社 | バッテリー上がり | パンク | キー閉じ込み | ガス欠 |
|---|---|---|---|---|
| JAF | 回数制限なし | スペア交換・応急修理も可/回数制限なし | 回数制限なし | 作業は無料・回数制限なし(燃料代は実費) |
| ソニー損保 | 保険期間中3回 | スペア交換(2年目以降は修理キットでのパンク修理も無料) | ○ | 1回・10Lまで(1年目はガソリン代自己負担) |
| SBI損保 | 保険期間中1回 | スペア交換のみ(パンク修理は自己負担) | ○(鍵作成の部品代は自己負担) | 1回・10Lまで |
| アクサダイレクト | 保険期間中2回(2026年4月1日から) | スペア交換のみ(パンク修理作業は対象外) | ○(バイク保険は対象外) | 1回(1年目は燃料代実費/2年目以降10Lまで無料) |
| 三井ダイレクト損保 | 保険期間中1回 | スペア交換 | ○ | 1回・10Lまで |
| 東京海上ダイレクト | ○(回数の明示なし) | スペア交換 | ○(鍵紛失・盗難は対象外) | 1回・10Lまで(1年目から無料) |
| チューリッヒ | 保険期間中1回 | スペア交換(標準装備のスペアに限る) | 1回・鍵紛失時の現場でのキー作成も無料 | 1回・10Lまで |
| おとなの自動車保険 | ○(15万円の枠内) | スペア交換(部品代は自己負担) | ○(鍵の再作成費用は対象外) | 1回・10Lまで(JAF会員は2回) |
並べてみるとよく分かります。保険付帯のバッテリー上がりは1回きりという会社が多数派で、多いソニー損保でも3回、アクサが2回(2026年4月から)。JAFだけが回数無制限です。
これは屋外保管の旧車や、月に一度しか動かさないセカンドカーを持っている人には無視できません。バッテリーは弱ってくると同じシーズンに何度も上がります。1回使い切ったあとの2回目は全額自己負担で、JAFを非会員で呼ぶと昼間の一般道でも21,700円という世界に戻ります。
キー閉じ込みで唯一目立つのがチューリッヒで、鍵を紛失したときの現場でのキー作成まで無料と明記しています。他社はほぼ「鍵の作成代は自己負担」「鍵紛失は対象外」です(キー閉じ込みの対処法と費用感)。
ガス欠は各社そろって保険期間中1回・10Lまで。ソニー損保とアクサは1年目の燃料代が自己負担で、2年目以降に無料へグレードアップする方式です。東京海上ダイレクトは1年目から燃料代込みで無料と書いています(ガス欠になったときの連絡先と費用)。
雪道スタック・落輪の比較|ここで各社の性格が分かれる
「保険のロードサービスは弱い」と言われる代表格が、雪道でのスタックと落輪(脱輪)です。実際に条件を読み比べると、対応の姿勢がはっきり分かれました。
| 会社 | 雪道でのスタック | 落輪・脱輪の引き上げ | チェーン脱着 |
|---|---|---|---|
| JAF | ○(ぬかるみ・冠水路も対応) | ○(落輪・転落車の引き上げは内容により有料になる場合あり) | ○ |
| ソニー損保 | ○ ただしノーマルタイヤでの走行中・自宅駐車場での雪スタックは対象外 | 1輪まで | × |
| SBI損保 | ○(雪道・ぬかるみでタイヤが空転した場合) | 3輪まで(プレミアムは全輪) | ×(自己負担) |
| アクサダイレクト | ○ ただしスタッドレスやチェーンを装着している場合に限る/自宅駐車場は対象外 | 3輪まで(4輪すべてなら10万円まで自己負担) | × |
| 三井ダイレクト損保 | ○(雪対応タイヤ等の要件あり) | 2万円まで | × |
| 東京海上ダイレクト | ○ ただし雪対応タイヤ等を装着し、自分で除雪しても解決しない場合に限る | ○(全輪落輪は除く。クレーン作業は自己負担) | × |
| チューリッヒ | ○ ただしノーマルタイヤでのスタックは対象外 | タイヤ本数を問わず無料(落差1m以内・クレーン作業は除く) | × |
| おとなの自動車保険 | ○ | 1m超・2輪以上・クレーン作業も15万円の枠内なら対応 | ― |
読みどころは2つあります。
ひとつは「ノーマルタイヤで雪にハマったら保険は助けてくれない」会社が複数あること。ソニー損保・アクサ・チューリッヒ・東京海上ダイレクトは、スタッドレスかチェーンを履いていることを条件にしています。冬にノーマルのまま出かけて動けなくなる、というのは実際にいちばん多い雪トラブルですが、そこは自己負担になり得るわけです。JAFはこの条件を付けていません。
もうひとつは落輪の“何輪まで”。ソニー損保は1輪、SBIとアクサは3輪、チューリッヒは本数問わず、三井ダイレクトは金額(2万円)で線引きと、まったく揃っていません。側溝に前後まとめて落ちた、田んぼに片側を落とした——という現実のパターンを考えると、この差はかなり大きいです。
そしてクレーン作業。多くの会社が「特殊作業費は自己負担」と書いているのに対し、おとなの自動車保険は15万円の枠内なら対象と明記しています。落ち方の悪い場所でクレーンを出すと数万円〜十数万円は飛ぶので、山道や農道をよく走る人には効いてくる差です。
金額の実感がわかない人のために書いておくと、SBI損保が公開しているお客さま自己負担の事例では、クレーンによる引き出し作業で3万円台、法面を飛び越えて用水路に落ちたケースで8万円台、大型クレーン車が必要になった川辺のケースで15万円台となっています。落ち方が悪いと、無料範囲を超えた瞬間にこの桁が乗ってきます。
保険付帯が構造的に苦手な領域|JAFの公式比較表が正直
じつはこの部分、JAFが提携保険会社ごとに「保険付帯サービスのみ」と「JAF会員向けサービス」を並べた表を公開していて、これが各社共通の弱点を一番はっきり示しています。損保ジャパン・SOMPOダイレクト・東京海上ダイレクト・三井ダイレクト・三井住友海上のどの表でも、保険付帯のみの列に「×対象外」が並ぶ項目がほぼ同じなのです。
- パンクの応急修理(スペア交換はできるが、修理キットで直す作業は対象外)
- タイヤチェーンの着脱
- 雪道・ぬかるみからの引き上げ(会社により一部対象)
- 自然災害に起因した事故・故障(保険側は一部対象。地震・噴火・津波は対象外)
- 部品代・消耗品代(保険付帯のみだと自己負担)
スペアタイヤを積んでいない今どきの車で、パンク修理キットを使う作業が対象外というのは、けっこう痛い話です。近ごろは応急修理キットしか積んでいない車のほうが多いのに、その作業が保険の無料範囲から外れている会社があるわけです(パンク・バーストでJAFを呼んだときの費用)。
さらに保険には共通の大前提があります。対象は「保険証券に書かれたその車」だけ。東京海上ダイレクトは「他車運転特約の対象となる他の自動車やファミリーバイク特約の対象となる原付はロードサービスの対象外」とわざわざ明記していますし、おとなの自動車保険も借用車は対象外と書いています。友人の車を運転していて止まった、借りた軽トラでハマった——という場面では、保険付帯は使えません。
もうひとつ、趣味車オーナーに関係する一文がSBI損保の留意事項にあります。「改造または後付けパーツを装着している、もしくは車高が低いため、通常の作業で二次破損等が生じる可能性があるか、または作業が不能となる車両」は対象外。車高を落としている車やエアロを付けている車は、そもそも積載できないと判断される場合がある、ということです。車高短の趣味車に乗っているなら、頭の隅に置いておいたほうがいい規定だと思います。
サーキット・走行会で壊れたら|保険のロードサービスは呼べない
車好き向けにもう一段踏み込んでおきます。サーキット走行中のトラブルは、保険のロードサービスの対象外です。これは推測ではなく、各社が規定に書いています。
- SBI損保|「通行禁止道路、季節的閉鎖道路、工事用道路、レース・ラリーを目的とする場所等での作業」「レース・ラリー等で契約自動車を使用し、発生したと考えられるトラブルの場合」はサービス対象外
- 三井ダイレクト損保|サービスの提供ができないケースとして「レース、ラリー等通常と異なる走行」を明記
保険本体の補償も同じ考え方です。三井ダイレクト損保の公式FAQは、対人・対物賠償も車両保険も「レース・ラリー等の競技・曲技に使用すること、または、これらを行うことを目的とする場所において使用することによって生じた損害」は対象外と回答しています。サーキットはまさに「これらを行うことを目的とする場所」なので、走行会でクラッシュしても車両保険は使えません。
気をつけたいのはSBI損保の2つ目の書き方で、場所ではなく原因で線を引いています。走行会の帰り道に公道で壊れた場合でも、原因が走行にあると判断されれば対象外になり得る、と読めます。
JAFの約款には「競技だから断る」という条文がない
いっぽうJAFのロードサービス利用約款を最初から最後まで読んでも、競技・レース・サーキットを理由にした除外規定は出てきません。対象を公道に限る条文もなく、むしろ「作業場所が利用者の自宅や駐車場である場合」の取り扱いが書かれているくらいです。
私有地について書かれているのは次の2か所です。
- 第9条|第三者が管理する場所で作業する場合は、施設の管理者に連絡して承諾を得ておくこと
- 第14条|作業することについて土地・施設等の管理者の了解が得られていない場合は実施しない
裏を返せば、サーキット側の了解さえ取れていれば、JAFは私有地でも作業できる建て付けだということです。実際、知り合いはサーキットでJAFを呼んで対応してもらっています。
背景として、JAFはロードサービスの団体であると同時に、FIA(国際自動車連盟)に公認された日本のASN=モータースポーツ統轄団体でもあります。国内競技の規則をつくって運営している組織なので、サーキットという場所そのものが専門外ではない。ここは他のロードサービスと決定的に性格が違うところだと思います。
ただし、約款で「サーキットには必ず行きます」と保証されているわけではありません。管理者の了解と現場判断が前提です。走行会に行くなら、主催者側にレッカー手配のサービスがあるかも含めて事前に確認しておくのが確実です(峠・サーキット遠征で車が壊れたら)。
宿泊・帰宅・その後の費用|ここは保険の独壇場
逆に、JAFがまったく持っていないのが「トラブルの後にかかるお金」の補償です。JAFがやるのは宿泊施設やレンタカーの紹介までで、費用は自分持ち。ここは保険の得意分野です。
| 会社 | 宿泊費用 | 帰宅費用 | その他 |
|---|---|---|---|
| JAF | 補償なし(優待価格の宿泊施設を紹介) | 補償なし(レンタカー会社を紹介) | プラスワンサービスとして紹介・アドバイス |
| ソニー損保 | 搭乗者全員分・全額・保険期間中何回でも | 限度額なし・何回でも(飛行機・船舶も対象) | レンタカー24時間+乗捨て料/修理後の自宅搬送/ペット宿泊 |
| SBI損保 | 1名1泊15,000円まで・1泊(プレミアムは2泊) | 公共交通機関は無制限/レンタカー24時間(プレミアム48時間) | 修理後の車両搬送・引取り/ペット宿泊はプレミアム限定 |
| アクサダイレクト | 搭乗者全員分・1泊 | 搭乗者全員分(当日または翌日) | 宿泊と帰宅はどちらか一方のみ/ペット宿泊/引取り交通費5万円まで |
| 三井ダイレクト損保 | 1名1泊1万円まで | 1名2万円まで | 車両搬送10万円まで/2年目以降はレンタカー12時間 |
| 東京海上ダイレクト | 補償なし(宿泊先を案内するのみ) | 補償なし(帰宅手段を案内するのみ) | 費用は実費自己負担と明記 |
| チューリッヒ | 搭乗者全員分・当日1泊・全額 | 搭乗者全員分・全額 | レンタカー24時間/ペットケア1万円/修理後の搬送は全額/旅行のキャンセル費用5万円まで |
| おとなの自動車保険 | 1名1万円まで | 1名2万円まで(タクシー・レンタカーは1台2万円) | レッカー搬送されたことが条件 |
ここでいちばん驚いたのが東京海上ダイレクトです。宿泊費・帰宅費の実費補償がない。公式ページを何度読んでも、あるのは「緊急宿泊先案内」「帰宅手段案内」という情報提供サービスで、しかも「ご利用に伴い発生する費用の実費はお客さま負担となります」とはっきり書かれています。大手グループのダイレクト型で、レッカーは距離無制限、拠点は全国7,600ヶ所と充実しているのに、ここだけ他社と設計思想が違います。
反対に手厚いのがソニー損保とチューリッヒ。搭乗者全員分・全額という書き方で、しかもソニー損保は保険期間中何回でも使えると明記しています。チューリッヒは旅行のキャンセル費用まで5万円出るという、他社にはない項目まで持っています。
そして見落としがちなのがアクサの「宿泊費用と帰宅費用はいずれか一方のみ」という条件。夜に故障して1泊し、翌朝に電車で帰る、という現実的な流れだと、どちらか片方しか出ません。金額の大きさより、こういう併用条件のほうが実際の場面では効きます。
回数制限の一覧|「無料」が何回までなのかを揃えて見る
| 会社 | レッカー | バッテリー | ガス欠 | 現場作業の時間 |
|---|---|---|---|---|
| JAF | 制限なし | 制限なし | 制限なし | 作業内容ごとの規定(30分以内の応急作業が基本) |
| ソニー損保 | 制限なし | 3回 | 1回 | 30分まで(2年目以降は30分超も無料) |
| SBI損保 | 記載なし | 1回 | 1回 | 30分程度まで(プレミアムは制限なし) |
| アクサダイレクト | 制限なし | 2回 | 1回 | 出動基本料金・現場作業料金が無料 |
| 三井ダイレクト損保 | 記載なし | 1回 | 1回 | JAF会員なら30分超の作業料金・部品代を4,000円まで負担 |
| 東京海上ダイレクト | 制限なし | 制限の明示なし | 1回 | 30分まで(JAF会員は無料) |
| チューリッヒ | 記載なし | 1回 | 1回 | 時間制限なし |
| おとなの自動車保険 | 1回15万円の枠内 | 枠内 | 1回(JAF会員は2回) | 15万円の枠内 |
この表がいちばん、JAFと保険の性格の違いを示していると思います。保険付帯は「年に1回くらいのトラブルなら面倒を見る」設計、JAFは「何回でも来る」設計です。
年に一度あるかないかのトラブルなら保険で足りますし、旧車やバイクで年に何度も何かが起きる人はJAFのほうが理にかなっています。
JAF会員だと保険側のサービスが広がる会社がある
ここが今回いちばん「調べてよかった」と思った部分です。JAFは提携している損保会社ごとに優遇内容を公開していて、JAF会員であることを申告すると保険側の無料範囲が広がります(2026年4月現在の記載)。
- 三井ダイレクト損保:自分で指定した工場まで100km→120km/30分を超える作業料金・部品代を4,000円まで負担/パンク応急修理・チェーン着脱・スタック引き上げが対象に
- 東京海上ダイレクト:100km→120km/現場作業料金が30分までではなく無料/部品代4,000円まで/燃料代無料サービスが1回→2回
- おとなの自動車保険(SOMPOダイレクト):部品代・消耗品代を4,000円まで負担/燃料代無料が1回→2回/パンク応急修理・チェーン着脱が対象に
- 損保ジャパン・三井住友海上・東京海上日動などの代理店型にも同様の優遇あり
逆にいうと、ソニー損保・SBI損保・アクサダイレクト・チューリッヒはJAFの提携リストに載っていません。この4社に入っている人がJAF会員でも、両者は別々に動くだけで、保険側の無料範囲が広がるわけではありません(もちろんJAFはJAFとして普通に使えます)。
「保険はネット型で安く、ロードサービスはJAFで手厚く」という組み合わせを考えている人は、提携している会社を選ぶだけでレッカー距離が20km伸びたり、部品代が浮いたりするということです。同じ保険料水準なら、ここを見ない手はありません。くわしくはJAF提携の自動車保険の優遇サービスにまとめています。
JAF非会員だといくらかかるのか|年会費との損得
比較の物差しとして、JAFが公開している非会員料金も並べておきます。すべてJAF公式サイトに掲載されている例です。
| トラブル(条件) | 会員 | 非会員 |
|---|---|---|
| バッテリー上がり(昼・一般道の応急始動) | 無料 | 21,700円 |
| パンク(夜・一般道のスペア交換) | 1本まで無料 | 25,630円 |
| キー閉じ込み(夜・一般道のドア開放) | 無料 | 25,630円 |
| 燃料切れ(昼・高速道路での給油/PA・SA以外) | 燃料代のみ | 32,610円+通行料・燃料代 |
| 故障車のけん引(昼・一般道) | 20kmまで無料 | 27,700円〜+1kmごと830円 |
| 落輪(夜・一般道/1輪の引き出し) | 無料 | 24,430円 |
| 雪道でのスタック(昼・一般道の簡易作業) | 無料 | 21,700円〜 |
JAFの会費は入会金2,000円+年会費4,000円で初年度6,000円、2年目以降は4,000円。家族会員は入会金なしで1名2,000円です。
つまり夜に一度キーを閉じ込めただけで、6年分の会費が吹き飛ぶ計算になります。「保険にロードサービスが付いているから」と非会員でいて、保険の無料回数を使い切ったあとにこの金額を払う——という順番が、いちばんもったいないパターンです(JAF年会費の元を取る考え方/入会金を無料にする方法)。
\ 回数無制限のロードサービス /
この比較で「見直したほうがいい」と分かる人
ここまでの表を自分に当てはめると、次のどれかに当たる人は一度契約内容を確認したほうがいいと思います。
- かかりつけの工場が自宅から50km以上離れているのに、無料けん引が50km枠の契約になっている
- 屋外保管の旧車・セカンドカーがあるのに、バッテリー上がりが年1回までの契約
- 遠出・車中泊・スキーが多いのに、宿泊費・帰宅費の補償がない契約
- JAF会員なのに、提携していない会社の保険に入っていて優遇を取り逃している
- おとなの自動車保険で、ロードアシスタンス特約を外しているのにJAFにも入っていない
最後の項目は要注意です。おとなの自動車保険のロードサービスは「えらべる補償」=オプションで、公式サイトも「JAFなどに加入済みなら重複を避けて保険料を節約できる」と説明しています。裏を返せば、JAFにも入っていないのに特約を外していると、ロードサービスが完全にゼロになります。証券を見て確認しておいたほうがいいところです。
旧車・趣味車・バイク持ちとしての持論
ここからは数字ではなく、NB8Cロードスターに乗り、バイクにも乗る立場としての考えです。
結論から言うと、私は「趣味の車を持っているならJAFは保険の代わりにならないし、保険もJAFの代わりにならない」と思っています。両方持つ前提で、保険側は「距離とお金」、JAF側は「回数と守備範囲」を担当してもらう、という分け方です。
理由は3つあります。
ひとつ目は、古い車のトラブルは「1回」で終わらないこと
年式の古い車は、同じ夏に2回オーバーヒート気味になることも、同じ冬に何度もバッテリーが弱ることもあります。保険の応急作業が1回で打ち止めなのに対して、JAFは回数制限がない。この差は、旧車を持っていると机上の話ではなく実感になります。
ふたつ目は、乗る車が1台とは限らないこと
趣味車と普段使いの2台持ち、バイクも所有、友人の車で出かける——という乗り方をしていると、「契約したその車だけ」という保険の縛りは思った以上に窮屈です。JAFは人に付くので、どの車に乗っていても、同乗しているだけでも使えます(バイクでもJAFは使えるのか)。
三つ目は、行き先です
峠やサーキット、林道の入口。そういう場所は「最寄りの提携工場」が遠く、そもそも自分の主治医の工場に運びたい。そうなると効いてくるのは自分で指定できる距離のほうで、20kmのJAF単独では確実に足りません。逆にここは保険の100〜150kmが頼りになります(旧車・趣味車にJAFは必要か)。
もうひとつ言っておきたいのは、ロードサービスの手厚さだけで保険を選ぶのは順番が違うということ。対人・対物の賠償や車両保険の設定を削ってまでロードサービスの厚い会社を選ぶのは本末転倒です。必要な補償を決めたうえで、条件が近い会社が並んだときの決め手にする——ロードサービスはその位置づけがちょうどいいと思っています。
タイプ別|公式情報から見た組み合わせの答え
新しめの車1台、通勤中心の人
保険付帯だけでほぼ足ります。年に何度もトラブルが起きる車ではないので、回数制限は現実的な障害になりません。強いて選ぶなら、宿泊・帰宅の補償があるかどうかで比べておくと、遠出のときに差が出ます。
旧車・趣味車に乗っている人
JAFと保険の両方をおすすめします。決め手は回数制限がないことと、自分で指定した工場までの距離。保険側は100km以上の枠がある会社を選び、JAF提携の会社なら120kmまで伸びます。ノーマルタイヤ条件やクレーン作業の扱いも、走る場所によっては効いてきます。
車とバイクの両方を持っている人
JAF一択に近いです。保険付帯は契約した車だけが対象で、ファミリーバイク特約の原付すら対象外と明記している会社があります。二輪のトラブルまで1つの会員証でカバーできるのはJAFの強みです。
家族で複数台に乗る人
個人会員+家族会員(1名2,000円)で、家族全員がどの車に乗っていてもカバーされる形が効率的です。保険は台数分の契約になりますが、JAFは人単位なので重複しません。
雪国・山間部で乗る人
チェーン脱着とスタックの条件を必ず確認してください。保険側はチェーン脱着がほぼ全社対象外、スタックもタイヤ条件付きです。この領域はJAFの守備範囲が明確に広く、JAF提携の保険会社ならその2つが優遇で対象になります。
よくある質問
保険のロードサービスを使うと保険料は上がりますか?
上がりません。各社とも「等級・翌年の保険料に影響しない」と公式に明記しています。おとなの自動車保険はロードアシスタンス特約のみの使用を「ノーカウント事故」と説明しており、他に事故がなければ翌年は1等級上がります。
JAFに入っていれば自動車保険のロードサービスはいらない?
いりません、とは言えません。JAFの無料けん引は20kmまでで、宿泊費・帰宅費の補償もありません。長距離のレッカーと、その後の費用は保険側の担当です。逆にJAF側にしかない守備範囲もあるので、片方だけで完結させようとすると必ずどこかに穴が残ります。
レッカー距離がいちばん長いのはどこですか?
自分で工場を指定する場合の無料距離は、公式サイト記載ではアクサダイレクトの150kmが最長です。SBI損保も条件を満たした人に提供される【プレミアム】なら150kmまで。おとなの自動車保険は距離ではなく15万円という金額枠で、目安は普通車で約180kmと説明されています。
ロードサービスは車両保険に入っていないと使えませんか?
車両保険の有無は関係ありません。チューリッヒも公式FAQで「車両保険の付帯がなくても利用できる」と回答しています。ただし、おとなの自動車保険のようにロードサービス自体が任意の特約という会社もあるので、証券の確認は必要です。
車検切れの車でも使えますか?
保険付帯は基本的に使えません。ソニー損保は「車検切れの場合、ロードサービスの対象外」、おとなの自動車保険も「車検切れであった場合は支払いの対象とならない」と明記しています。長期保管していた趣味車を動かすときは要注意です。
まとめ|比較表は「自分の穴」を探すために使う
11項目を公式サイトだけで並べ直して見えたのは、次の3点でした。
- 距離とお金の補償は保険。レッカーは100〜150km、宿泊・帰宅の実費まで見てくれる会社もある
- 回数と守備範囲はJAF。バッテリーもガス欠も回数無制限、パンク応急修理・チェーン脱着・スタックまで対応
- 同じ「無料」でも中身は会社ごとに別物。落輪1輪と本数無制限、宿泊全額と補償なしが同じ表の中に並ぶ
- サーキット走行は保険のロードサービスの対象外。規定に明記されている。JAFの約款には競技を理由にした除外がない
そのうえで、自分の乗り方から見て穴が空いている場所を埋めるのが正解です。安さだけで選ぶと、いざというときに「その作業は対象外です」と言われることになります。
更新が近い人は、いまの契約のロードサービス条件(自分で指定できるけん引距離・バッテリーの回数・宿泊費の有無)をメモしたうえで、他社の見積もりと並べてみてください。補償を削らずに保険料が下がるなら、その差額はJAFの年会費4,000円を軽く超えることも珍しくありません。
\ 最大20社を無料で一括見積り /
※本記事の内容は2026年8月時点で各社公式サイトに掲載されている情報をもとにまとめたものです。サービス内容は改定されることがあるため、契約前に必ず各社の最新の利用規約・約款をご確認ください。


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