「この道、そんなに車多くないのに、なんでこんなに詰まるんだろう?」
運転していると、そう感じる場面に出くわすことがありませんか。
もちろん、交通量が多ければ渋滞しやすくなるのは当然です。でも、よく観察してみると、それだけでは説明がつかない「詰まり」が発生していることがあります。
たとえば、たった1台の車の止まる位置がちょっとズレているだけで、後ろの何台もの車が完全にストップしてしまっている。そんな光景、見たことないでしょうか。
この記事では、交通量だけでは説明できない「流れを止めてしまう運転」について、日常の運転で見かける具体例を挙げながら考えてみます。
渋滞は「車が多い」だけで起きるわけではない
交通量が多いことが渋滞の大きな原因であるのは、間違いありません。これは大前提です。
ただし、同じ道路を同じ台数の車が走っていても、交差点での右左折待ちの仕方、停止位置の取り方、合流のタイミング、車線の使い方ひとつで流れはまるで変わります。
たとえば、右折レーンのない交差点で右折待ちの車が車線中央によらず、走行車線の真ん中に止まっていたら、直進したい後続車は全部そこでストップしなければなりません。それがたった1台分の位置取りの差です。
少し右によって、交差点の中央までもう少し前に出てくれれば、後続車は直進できます。
本人にとっては「普通に右折を待っているだけ」でも、後続車にとっては「全然進めない」という状態になっている。こうした小さなボトルネックが後ろに向かって連鎖的にブレーキを生み、気づけば数百メートル先まで詰まっている、ということが実際に起こります。
渋滞は、車の多さだけでなく、ドライバー1人ひとりの運転の仕方によっても悪化する。これは意外と見落とされがちなポイントです。
流れを止める「気づかない運転」の例
ここからは、日常の運転でよく見かける「結果的に流れを止めてしまっている運転」の具体例を挙げてみます。
どれも悪意があるわけではなく、本人は普通に運転しているつもりのケースがほとんどです。だからこそ厄介で、だからこそ「気づかない運転」なんですよね。
左折待ちで道路の真ん中に止まってしまう
左折するのに、車体がほとんど道路の中央付近に止まっている車を見かけることがあります。
こうなると、後ろの直進車は左折車が曲がり終わるまで完全にストップ。左折車1台のタイミング次第で、後続が何台も止められてしまいます。
左折するときにあらかじめ道路の左端によってから左折してくれれば、後続車はそのすぐ右横から進むスペースができ、後続は流れるのに道路の真ん中で止まっているとそれすらできない。

さらに厄介なのが、いわゆる「あおりハンドル」で左折する車です。左折なのに、いったんハンドルを右に切ってから大回りで曲がるやり方ですね。
この曲がり方をすると、車体が道路に対して横向きの状態で交差点に残りやすくなります。
そこへ左折先の横断歩道で歩行者待ちが重なると、交差点をほぼふさぐ形で止まってしまい、後続車は完全に通れなくなる。
しかもあおりハンドルは、流れを悪くするだけでなく巻き込み事故のリスクがとても高い動きでもあります。
左折する車がいったん右に振ることで左側にスペースが生まれ、後続の二輪車や自転車が「直進するのかな」と判断してそのスペースに入り込んでしまう。
そこから急に左に切り込むわけですから、すり抜けてきた二輪車を巻き込む危険が非常に大きくなります。
普通車であれば、あおりハンドルをしなくてもほとんどの交差点は曲がれます。
左折するときは、あらかじめ後方を確認したうえで早めに左側へ寄せ、大回りせずにコンパクトに曲がることを意識するだけで、後続の流れも良くなりますし、巻き込みのリスクも大きく減らせます。
ただし、この「左寄せ」は後続車を通すためだけのものではありません。
むしろ大事なのは、二輪車や自転車が左側から無理にすり抜ける余地を減らし、巻き込み事故を防ぐことです。
左折時の安全確認と左寄せの考え方については、別記事「左折直前に確認しても遅い?自転車・歩行者を巻き込まないための左折のコツ」で詳しくまとめていますので、あわせて読んでみてください。
右折待ちで中央に寄らず、後続の直進車を止めてしまう
右折レーンがない道路で右折待ちをするとき、道路の中央線ギリギリまで寄っていれば、後続の直進車が左側を通り抜けられるケースは多いです。
ところが、走行車線上にどっしり止まったまま対向車の切れ目を待っている車をときどき見かけます。この間、後続車は全部ストップ。これが信号1回分、あるいは信号2回分のロスにつながることもあります。

もちろん道幅が狭くて寄せきれない場合もありますし、無理に寄せる必要はありません。ただ、少しでも中央に寄る意識があるかないかで、後ろの流れはかなり変わります。
信号のある交差点でも同じことが起きます。右折待ちをするとき、もう少し前に出て交差点の中央付近まで進んでくれれば、後続の直進車や左折車は右折待ちの車をよけて通れるケースが多いのに、停止線付近でずっと止まったまま対向車を待っている。後続車は「前に出てくれればこっちは行けるのに…」と思いながら、一緒に止まるしかありません。
右折は対向車を見ながらの判断になるので慎重になるのはわかりますが、交差点の中に入ること自体は問題ありません。前に出られるスペースがあるなら、適切に前進して後続車が通れる余地を作る意識を持つだけで、流れはかなり改善します。
交差点で前に出られるのに手前で止まってしまう
赤信号で停止するとき、停止線よりもかなり手前の位置で止まっている車。あるいは、信号待ちの先頭車があともう少し前に出てくれれば、後続車が右折レーンや左折レーンに入れるのに、ずいぶん手前で止まっているケース。
本人はちゃんと止まっているつもりでも、後ろの車にとっては「あと1メートル前に出てくれれば、こっちは曲がれるのに…」という状況になっていることがあります。
前の状況をよく見て、詰められるところは適切に前へ出る。それだけで後続の流れが一気に改善されることは少なくありません。
青信号になっても発進が遅い
「青になった瞬間にスタートしろ」という話ではありません。安全確認は大事です。
ただ、信号が青になって明らかに数秒たっているのに動き出さない車がいると、その信号で通過できる後続車の台数が確実に減ります。とくに通勤時間帯のように交通量が多い時間帯では、先頭車の発進の遅れ1回が後ろの何台もの信号待ちにつながることがあります。
信号待ちの間にスマホを見ていたり、ぼんやりしていると、どうしても反応が遅れがちです。先頭で止まっているときは、信号の変わるタイミングに少し意識を向けておきたいところですね。
合図が遅く、後続車に急ブレーキを踏ませる
店舗や駐車場に入るために減速するとき、曲がる直前になってからウインカーを出す車。あるいは、ウインカーすら出さずにいきなり減速して曲がっていく車。
後続車からすると、「前の車がいきなりブレーキを踏んだ」ようにしか見えないため、急ブレーキや急な車線変更を強いられます。これが後続の何台にもブレーキの連鎖を生むことになります。
早めにウインカーを出して、徐々に減速してあげれば、後ろの車は前もって速度を調整できます。たったそれだけのことで、後ろの流れはずいぶん違ってきます。
合流で加速が足りず、流れを乱してしまう
高速道路や幹線道路の合流で、本線の流れに対して明らかに遅いスピードのまま合流してくる車。
本線側の車がブレーキを踏まざるを得なくなり、その後ろもブレーキ、さらにその後ろもブレーキ…と連鎖します。
合流地点は、渋滞が発生しやすい場所のひとつですが、その原因の一部は合流する側の速度不足にあることも少なくありません。
合流は、加速車線を使ってしっかり本線と同じくらいの速度まで加速し、スムーズに流れに乗ることがとても大切で残全でもあります。
加速が足りないと自分自身も合流しにくくなりますし、本線側にとっても迷惑になってしまいます。
また、渋滞時の合流にも注意が必要です。高速道路などで本線が渋滞しているとき、合流車線の先端(合流ポイント)まで進んでから1台ずつ交互に本線へ入る「ファスナー合流(ジッパー合流)」が、全体の流れを最も乱さない方法です。

AIに書いてもらったので、やや微妙なイラストですが、意味は通じると思います(^^;
ところが、合流車線の手前から我先にと本線に割り込んでしまうと、本線側の車は間に何台も車を入れることになり、本線側の流れが悪くなり渋滞がさらに悪化します。
合流ポイントより手前のあちこちから不規則に入られると、本線側は流れが悪くなってしまうんですね。
渋滞時こそ焦らず、合流車線を先端まで使って、交互に1台ずつ合流する。
これだけで、本線側も合流側もスムーズに流れやすくなります。
うまいドライバーは「自分の車の後ろ」まで見ている
ここまで挙げた例に共通しているのは、「自分が曲がれるか・通れるか」だけを見ていて、「自分の後ろがどうなるか」まで想像できていないということです。
運転がうまい人を見ていると、右左折の寄せ方、停止位置の取り方、合図のタイミングがとにかくスムーズです。
派手なハンドルさばきやスピードが速いわけではなく、周囲の車にストレスを与えない。だから後ろから見ていて安心感がある。
それは特別なテクニックではなく、「自分の車の動きが後続にどう影響するか」を常にイメージしているからなんですよね。
たとえば左折するときに早めに左へ寄せるだけで、後ろの直進車は止まらずに少しだけよけて通過できる。
右折待ちで中央に寄るだけで、後続がスルッと流れる。
ウインカーを少し早く出すだけで、後続車は減速のタイミングを前もってつかめる。
ほんの少しの位置取りと合図のタイミングで、自分の後ろの景色はまったく変わります。
ただし、流れを優先しすぎる運転も危険
ここまで「流れを止めない運転」について書いてきましたが、ひとつ注意しておきたいことがあります。
流れを良くしようとするあまり、安全確認をおろそかにしてしまったら、それは本末転倒です。
たとえば、左折時に後方確認をせずに急に左へ寄せたり、右折待ちで焦って無理に対向車の間に突っ込んだり。あるいは青信号になった瞬間に安全確認なしで急発進したり。それは流れを良くする運転ではなく、ただの危険運転です。
大事なのは「安全を削って流れを作る」ことではなく、「安全な範囲のなかで、できるだけ流れを止めない」こと。
安全確認をしたうえで、少し早めに行動する。寄せられるところは、あらかじめ安全を確認してから寄せる。それだけで、無理をしなくてもスムーズな運転は十分にできます。
道路はみんなで流れを作る場所
道路は自分だけが走る場所ではなく、たくさんの車や二輪車、自転車、歩行者がそれぞれの目的地に向かって一緒に使う場所です。
「自分が安全に曲がれればそれでいい」ではなく、「自分の動きが周囲にどう影響するか」を少しだけ意識する。
それだけで、交通の流れはかなり変わります。
- 早めにウインカーを出す
- 停止位置を意識する
- 右左折のときは安全を確認したうえで適切に寄せる
- 合流ではしっかり加速して流れに乗る
どれも派手なことではなく、小さな配慮の積み重ねです。
でも、その小さな配慮があるかないかで後続車の流れは確実に変わるし、無駄なブレーキが減り、結果として事故のリスクも下がります。
まとめ
- 渋滞は車の台数だけでなく、1台1台の運転の仕方でも悪化する
- 停止位置、合図のタイミング、右左折の寄せ方、合流の仕方が流れに大きく影響する
- 「自分の後ろがどう流れるか」まで想像できると、道路全体がスムーズになる
- ただし、安全を削ってまで流れを優先する必要はない
- 左折時の巻き込み防止と安全な左寄せについては、別記事で詳しく解説しています

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