車間距離の目安って何メートル?簡単にできる車間距離の測り方について
あの東名高速道路の事故(事件!?)から話題になることが多くなってきたロードレイジによる煽り行為。相手にキレて車間距離を詰めて煽るような行為はもってのほかですが、普通に運転していても車間距離がかなり近い状態で走っている車も少なくありません。
車間距離不保持で走行するのはとても危険なことですし、違反点数をもらう罰則行為でもあります。
しかし、車間距離を何メートルあけなければ違反になるといった数字は具体的には明確にされていません。
そこで、安全に運転するための車間距離の目安と簡単な車間距離の測り方を提案いたします。
車間距離の目安のつけ方
車間距離の目安は走行速度に対して前走車との距離を何メートルあけて走るといった具合に自動車教習所で習った方もいるかもしれません。
例えば、80km/hで走行中は80m以上の車間距離、100km/hで走行中は100m以上の車間距離をあけるといった目安を聞いたことがある方もいるかもしれません。
ということは、40km/hの時は40mでいいの?60km/hの時は60mなの?と疑問に思ってしまいますよね?
しかし、40km/hで40mといった目安は間違いです。(目安としてはこの場合は車間距離は開けすぎです。安全ではありますが・・)
なぜなら、車の停止距離は速度に比例して長くなるのではなく、速度の2乗に比例して長くなるからです。
例えば30km/hの停止距離の目安は13.4m、2倍の60km/hの停止距離は37mといった具合に、速度が2倍になった場合でも制動距離は単純に2倍になるわけではなく、もっと長い距離が必要になるのです。
だからといって、いちいち速度と停止距離を覚えて車間距離を測ることなんてできませんし、なにより前の車との車間距離なんて今難メールかなんて実際にはわかりませんよね??
一般道路では高速道路のように車間距離を測るメートル表示の看板もありませんから、距離をメートルで測ることは難しいでしょう。
そこで、何キロで走っていてもどこを走っていても車間距離の目安を測ることができる簡単な方法をお教えします。
車間距離は前走車から何メートルといった距離ではなく秒数で測る
前の車が通過した地点を自分の車が通過するまでの秒数を計って車間距離の目安とします。
例えば、前を走ってる車が歩道切れ目や電柱の横などの目印を通過した瞬間から「0・1・2・3」と数えて自分がその目印を通過するまでの秒数を数えます。目印はなんでもOKです!
秒数による車間距離の測り方でよく言われているのが2秒ルールや3秒ルールです。
前の車との間隔を2秒間もしくは3秒間とする方法です。
一般道路においては「3秒」あけて走れば概ね充分安全な車間距離を保持することができます。
車間距離は3秒あける!と覚えておけば簡単で安全な車間距離を保つことができます。
ちなみに、私は秒数による車間距離を3段階に使い分けています。
- 40km/h以下では2秒以上
- 40km/h~80km/hは3秒以上
- 80km/h以上は4秒以上(高速道路を想定)
このように決めて普段から運転しています。
*あくまでも目安ですので参考にしていただければと思います。
*こちらは約80km/hで高速道路を走行中の写真です。
自車と前方の車との車間距離は約4~5秒でこのくらいの距離になります。
写真だと結構車間あけて走ってる感じに見えますがこのくらいの余裕があると安全です。
ちなみに隣の車線の白い車と前を走る車の車間距離は約1秒です。写真で見ると、見た目の車間距離はごく普通に見えますが、非常に危険な車間距離です。
このように普段から短い車間距離で走るのが当たり前になってしまっている人が多いので、高速道路の事故は多重事故になりやすいのです。
(車間が狭いと、前方で事故が起きた時にブレーキが間に合わない!!)
動画のほうがわかりやすいと思い、私が普段高速道路を走っているときの動画を撮りました。
いつも一番左側の車線を80km/h~90km/hくらいで走っています。車間距離は4秒から5秒を目安にしています。
◎車間距離をしっかりとらないとこうなります。
車間距離3秒ルール等の根拠とは
なぜ前の車との距離を2秒や3秒など時間で測るのか?それには理由があります。
20km/hの時は1秒間に約5.6m進み、100km/hの時は1秒間に28m進むといった具合に速度によって1秒間に進む距離を計算できるからです。
例えば同じ3秒でも20km/hの時は約17m、100㎞/hの時は約84mになりますね。(前の車が急ブレーキをかけても間に合う程度の距離です)
車間距離を測る秒数だけを決めておけば「何キロの時は何メートル」といったことを暗記しなくても、前の車から何秒後ろを走れば適正な車間が取れているかわかるので、いちいちスピードメーターを見て車間距離を計る必要がなく、簡単に適切な車間距離を保つことが可能です。
★参考:時速によって1秒間に車が進む距離一覧表
1秒間に進む距離を3倍した値が「3秒ルール」の車間距離となります。
速度 | 1秒間に進む距離 | 3秒ルールの車間距離 |
10km/h | 2.78m | 8.34m |
20km/h | 5.56m | 16.68m |
30km/h | 8.33m | 24.99m |
40km/h | 11.1m | 33.3m |
50km/h | 13.9m | 41.7m |
60km/h | 16.7m | 50.1m |
70km/h | 19.4 m | 58.2m |
80km/h | 22.2m | 66.6m |
90km/h | 25.0m | 75.0m |
100km/h | 27.8m | 83.4m |
110km/h | 30.56m | 91.68m |
120km/h | 33.33m | 99.99m |
130km/h | 36.11m | 108.33m |
140km/h | 38.89m | 116.67m |
150km/h | 41.67m | 125.01m |
時速30km/hのゆっくり走行なら1秒間に8mちょっとしか進みませんが、時速100km/hだと28m近く進んでしまうということになります。
適正な車間距離をとるためとは言っても、こんな表は覚えていられないですよね?(笑)
でも、「前の車との間隔を3秒以上開ける」とだけ覚えておけば、いつでも適正な車間距離で走ることができます。
一瞬目を離してスマホを見ただけでも、これだけ車が進んでしまうということを知れば、わき見運転がいかに危険かということがわかると思います。
車間距離が短いと余計に追突の危険も高まりますね。
安全な車間距離を3秒とする根拠について
まず、危険を感じて車が止まるまでの停止距離について。
危ない!と思ってブレーキペダルを踏み始めるまでの時間を空走距離といい、この間はブレーキがかかっていません。そして、ブレーキペダルを踏んでから車が停止するまでの距離を制動距離といいます。
空走距離+制動距離=停止距離となります。(停止距離は速度の2乗に比例して長くなります)
空走距離は個人差があります。
反応速度が早いほど早く止まれますが、年齢とともに反応速度が衰えていくものなので、ベテランドライバーの方ほど、余裕を持った運転が安全です。
空走距離は速度に比例して長くなりますが、制動距離は速度が速いほど速度に比例した距離よりも長くなります。(速度が2倍になると制動距離が2倍を超えて長くなります。速度が速いほどその差はどんどん広がります)
★参考:速度に対する停止距離
※空走距離は1秒とし摩擦係数を0.8(乾いた路面)とする。
速度 | 空走距離 | 制動距離 | 停止距離 |
20km/h | 5.56m | 2.24m | 約 7.8m |
30km/h | 8.33m | 5.07m | 約 13.4m |
40km/h | 11.1m | 8.9m | 約 20.0m |
50km/h | 13.9m | 14.1m | 約 28.0m |
60km/h | 16.7m | 20.3m | 約 37.0m |
70km/h | 19.4m | 27.4m | 約 46.8m |
80km/h | 22.2m | 35.9m | 約 58.1m |
90km/h | 25.0m | 45.6m | 約 70.6m |
100km/h | 27.8m | 56.3m | 約 84.1m |
110km/h | 30.6m | 68.2m | 約 98.8m |
120km/h | 33.3m | 80.8m | 約 114.1m |
130km/h | 36.1m | 95.0m | 約 131.1m |
140km/h | 38.9m | 110.3m | 約 149.2m |
150km/h | 41.7m | 126.7m | 約 168.4m |
表の停止距離はある一定の条件の例であくまでも参考値です。実際には車重や路面の状態、タイヤの減り具合などでもっと長くなることもあります。
車間距離を「3秒」とした場合、空走距離×3秒が実際の車間距離となるので、40km/hで走行中に3秒の車間距離をとった場合、11.1m×3秒=33.3mとなります。
40km/hの停止距離は約20mですから、3秒(33m)あけて走っていれば前の車が急ブレーキをかけて止まっても充分安全に停止できる距離ですね。
60km/hの場合でも車間距離は17m×3秒=61mとなり、停止距離44mよりも余裕があるので安全な車間距離と言えます。
この根拠から、前の車との間隔を3秒以上あけると安全ということで「3秒ルール」と言われています。
ただし100km/hを超えてくると計算上3秒では間に合わなくなってきます。
例えば・・・110km/hで走行していた場合は3秒で進む距離は91.8mに対し停止距離が98.8mとなります。
計算上ですが7m距離が足らずにぶつかってしまうことになります。
実際には「3秒」は結構余裕がある車間距離ではありますが、ブレーキを踏む反応が少し遅れたり、雨が降っていて滑りやすかったり、人や荷物が満載でクルマが重たくなっているなど悪条件が重なると停止距離は簡単に伸びてしまいます。
普段から余裕をもった車間距離「3秒」を実践していれば事故を防ぐ可能性を高くすることができます。
最悪の状態でも被害を最小限に抑えることにつながりますので「3秒ルール」と覚えておくと良いでしょう。
私が高速道路(80km/h以上)で3秒ではなく4秒以上を実践している理由は、
3秒でも自分は安全に停止することができても、後続車が車間を取って無かった場合、
間に合わず自分の車に追突してくるのを防ぐための余裕を考えての車間距離です。
高速道路を走っていると、異常に近い車間距離で車が追従してくるケースが非常に多いです。
もし、自分が危険回避で急ブレーキをかけて止まれたとしても、車間距離不保持の後続車がいたら追突される可能性が高まります。
それが大型車であれば自分の車だけではなく命も落としかねない危険な事故になってしまうかもしれません。
自分が事故を防ぐために停止しないといけない状況にあっても、後続車も止まれるくらい余裕をもったブレーキで追突されるリスクを避けるために、高速道路では「4秒以上」というルールで運転するようにしています。
車間距離不保持は違反になる!違反点数と反則金とは?
車間距離を詰めて走っていて警察に捕まったという話はあまり聞いたことがありませんが、実際には違反点数+反則金を払うことになる交通違反です。
先ほども少し触れましたが、違反になる近さの車間距離として定量的で明確な規定はありません。
「前の車に追突する恐れのない距離」といったあいまいな表現が使われることもあります。
車間距離不保持違反の点数と反則金
違反点数 | 大型 | 普通 | 二輪 | 原付 | |
一般道路 | 1点 | 7,000円 | 6,000円 | 6,000円 | 5,000円 |
高速道路等 | 2点 | 12,000円 | 9,000円 | 7,000円 | ——– |
車間距離不保持違反は交通違反としては軽微な違反の部類ですが、重大な事故を招く原因にもなりますので、軽く考えずしっかりと安全な車間距離を保って運転してください。
なぜ多くの車は車間距離を詰めて走る危険行為をするの?
車間距離を詰めて走る人の心理として考えられることはいくつかあります。
- 車間距離を開けすぎて割り込まれるのが嫌だ
- 車間距離をあけすぎていると後ろの車から煽られる
- 前の車が遅いので速く走るように促すように車間を詰める(煽り運転)
- 流れに乗っているとついつい車間が詰まってしまう
- あまり意識せず車間を詰めて走るクセがついてしまっている
意識してか無意識なのかは別として、概ねこのような感じではないでしょうか。
急いでいてイライラしていたり、自分の前に割り込まれるのが嫌いな人などは他の車を煽るような危険な運転をしがちな性格の人が多いです。
以前から話題になっている危険な運転をするロードレイジになる人はこのようなタイプの人でしょう。
特に危険だと思うのが高速道路の第三通行帯(追い越し車線)を最高速度の100km/hをはるかに超えて、前の車のわずか10m(車2台分程)くらいの車間距離で走っていく車です。
当の本人は道路が空いてるから飛ばしても大丈夫だと思っているかもしれませんが、高速道路には落下物があったり対向車線からの飛来物があったりと予期せぬことが起こることもあります。
ちょっとしたことでコントロールを失って事故になってしまうことも少なくありません。おそらくこのような危険な走り方をする輩は、危機意識が欠けているのでしょう。
自分は車間距離をあけて安全運転していても、後ろの車が車間を詰めてくるようだと事故を起こされて巻き込まれるかもしれません。そのような車に遭遇してしまったら、安全なところでやり過ごすことが大人の対応です。
特に高速道路では大きな事故になりかねませんので、注意して運転してください。
「自分は事故を起こさない!」「事故はもらわない!」と常日頃から意識して運転することがとても大切です。
車は急に止まれません。「3秒ルール」「高速では4秒ルール」でしっかり車間距離を保って安全運転でいきましょう!