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古い車に乗っていると、必ず言われます。「そろそろ維持費きついでしょ」と。
実際、税金は上がります。13年を超えれば自動車税、18年を超えれば重量税。これは避けようがありません。ただ、10年以上(製造からは20年以上)NB8Cロードスターに乗ってきて実感しているのは、財布に効いてくるのは税金ではないということです。増えた税額は年間で1万円ちょっと。それより、部品が出るか出ないかのほうがはるかに大きな問題になります。
この記事では、古い車の維持費を「必ず上がる分」と「読めない分」に分けて整理します。前半は税額の話なので数字で出せます。後半は数字にしにくい部分ですが、古い車を持ち続けるかどうかを決めるのは、たいてい後半のほうです。
古い車の維持費で「必ず上がる」のは税金だけ
まず、年式が理由で自動的に上がるものを確認します。上がるのは自動車税と自動車重量税の2つだけです。任意保険料もガソリン代も、年式そのものでは上がりません。
13年を超えると自動車税がおおむね15%上がる
初度登録から13年を超えたガソリン車・LPG車は、自動車税がおおむね15%重課されます。ディーゼル車はもっと早く、11年を超えた時点で対象です。
令和元年9月30日以前に新規登録した自家用乗用車の税額は次のとおりです。古い車はほぼこの表に当てはまります。
| 排気量 | 通常 | 13年超 | 差額 |
|---|---|---|---|
| 1.0L以下 | 29,500円 | 33,900円 | +4,400円 |
| 1.0L超〜1.5L以下 | 34,500円 | 39,600円 | +5,100円 |
| 1.5L超〜2.0L以下 | 39,500円 | 45,400円 | +5,900円 |
| 2.0L超〜2.5L以下 | 45,000円 | 51,700円 | +6,700円 |
| 2.5L超〜3.0L以下 | 51,000円 | 58,600円 | +7,600円 |
| 3.0L超〜3.5L以下 | 58,000円 | 66,700円 | +8,700円 |
| 3.5L超〜4.0L以下 | 66,500円 | 76,400円 | +9,900円 |
| 軽自動車 | 10,800円 | 12,900円 | +2,100円 |
電気自動車・ハイブリッド車(ガソリンを燃料とするもの)・天然ガス車・メタノール車は重課の対象外です。13年落ちのプリウスは重課されません。「古い車は増税」と一括りにされがちですが、正確には「古いガソリン車・ディーゼル車は増税」です。
18年を超えると重量税がもう一段上がる
重量税は13年と18年の2段階で上がります。車検のたびにまとめて払うので実感しにくいのですが、上げ幅は自動車税より大きいです。自家用乗用車・車検2年分(継続検査)の税額は次のとおりです。
| 車両重量 | 13年未満 | 13年超 | 18年超 |
|---|---|---|---|
| 0.5t以下 | 8,200円 | 11,400円 | 12,600円 |
| 〜1.0t | 16,400円 | 22,800円 | 25,200円 |
| 〜1.5t | 24,600円 | 34,200円 | 37,800円 |
| 〜2.0t | 32,800円 | 45,600円 | 50,400円 |
| 〜2.5t | 41,000円 | 57,000円 | 63,000円 |
1.5t以下の車なら、13年を超えた時点で車検1回あたり9,600円の上乗せ。18年を超えるとさらに3,600円乗ります。2t級のミニバンやSUVだと、13年超えの時点で1回12,800円増です。
ここまでが「必ず上がる分」です。裏を返せば、年式が理由で自動的に増えるのはこれだけで、あとはすべて車の状態と乗り方次第ということになります。
2026年4月の税制改正は、旧車オーナーには関係がなかった
2026年4月1日に、自動車の税制が久しぶりに大きく変わりました。ニュースで「自動車税が下がる」と聞いて期待した人も多いと思います。結論から言うと、古い車に乗っている人には1円も関係ありません。
変わったこと
- 環境性能割が廃止
(2026年3月31日で廃止)。軽自動車税環境性能割も同時に廃止 - 「自動車税種別割」が「自動車税」に名称変更
軽自動車税種別割も「軽自動車税」へ - 自家用乗用車の税率引下げ
ただし対象は「令和元年10月1日以降に初回新規登録を受けた」車のみ
変わらなかったこと
環境性能割は車を取得したときにかかる税です。乗り続けている人には最初から関係がありません。廃止で得をするのはこれから買う人です。
そして税率の引下げについて、自治体の案内は「令和元年9月30日以前に登録を受けた自動車」について「税率の変更はありません」と明記しています。2019年10月より前に登録された車は、据え置きです。
さらに、13年超・18年超の重課は廃止も縮小もされませんでした。そのまま続いています。
つまり今回の改正を旧車オーナーの視点でまとめると、こうなります。
- 減税 → 対象外(2019年10月以降に登録した車だけ)
- 環境性能割の廃止 → 乗り続けるなら無関係
- 13年超・18年超の重課 → そのまま継続
個人的には、ここが一番言いたいところです。重課だけは残り、減税は届かない。環境負荷を理由に古い車へ重く課税する制度は残したまま、軽減のほうは新しい車にだけ配られました。
ヨーロッパには一定年数を超えたクラシックカーを優遇する制度がある国もありますが、日本にはありません。この点は今回の改正でも見直されていません。文句を言っても税額は変わらないので、「古い車は毎年1万円ぶん多く払って乗るもの」と割り切ったうえで、他のところで判断するしかないと思っています。
NB8Cロードスターの場合、税金だけで年いくらか
抽象的な話だと実感しにくいので、自分の車で計算します。NB8Cロードスターは1.8L(1,839cc)、車両重量は1t強なので重量税は「1.0t超〜1.5t以下」の区分。生産は1998年〜2005年なので、18年超はとっくに確定しています。
| 項目 | 金額 | 年あたり |
|---|---|---|
| 自動車税(1.5L超2.0L以下・13年超) | 45,400円/年 | 45,400円 |
| 自動車重量税(〜1.5t・18年超) | 37,800円/2年 | 18,900円 |
| 自賠責保険(自家用乗用24か月) | 17,650円/2年 | 8,825円 |
| 検査手数料(小型自動車・持込) | 2,500円/2年 | 1,250円 |
| 合計 | — | 約74,000円 |
税金・自賠責・手数料だけで年間およそ7万4,000円。ここに任意保険、ガソリン代、駐車場代、整備費が乗ります。
ただ、注目してほしいのは総額ではなく「年式が理由でいくら増えたか」のほうです。
- 自動車税:39,500円 → 45,400円 年+5,900円
- 重量税:24,600円 → 37,800円(2年) 年+6,600円
合わせて年間12,500円。月に直せば約1,040円です。「古い車は税金が高くて維持できない」と言われるほどの金額ではありません。タイヤを1本余計に買うかどうか、くらいの差です。
なお、自賠責保険料は2026年11月1日始期の契約から13年ぶりに値上げされます。自家用乗用24か月は17,650円から18,560円へ。年あたり455円ほど増える計算です。車検手数料のほうも2026年4月1日に改定され、小型自動車の持込検査は2,500円、普通自動車は2,600円になりました(指定整備工場経由ならどちらも2,100円)。
→ 自賠責保険と任意保険の違い|補償範囲・限度額と2026年11月の値上げまで整理
税金より効いてくるのは「部品がまだ出るか」問題
ここからが本題です。古い車の維持費で本当に読めないのは、壊れた部分の部品が手に入るかどうかです。
部品が純正で出るなら、修理は「部品代+工賃」で終わります。出ない場合は話が変わります。中古を探す、社外品で代用する、加工して作る。どれも手間が増えるぶん工賃が伸びますし、そもそも直せる工場を探すところから始まることもあります。同じ故障でも、部品が出るか出ないかで金額が数倍変わるのが古い車です。
メーカーの旧車支援は思ったより対象が狭い
マツダには「CLASSIC MAZDA」という旧車オーナー向けの取り組みがあります。レストアサービスや部品の復刻をやっていて、車好きの間ではよく知られています。
ただし、公式サイトで対象を確認すると、レストアサービスとパーツ情報サービスはNAロードスター(初代)のみ、復刻パーツはNAロードスターとFC/FD型RX-7のみです。つまりNB型ロードスターは対象に入っていません。
同じロードスターでも、NAとNBでは置かれている状況が違います。メーカーが手厚く面倒を見てくれるのは初代だけで、2代目は普通の生産終了車と同じ扱い。NBに乗っている立場としては、正直なところここは羨ましいです。
そしてマツダは純正部品の「最終調達パーツリスト」を公開しています。今後の供給が難しくなる部品を事前に知らせるもので、直近では2026年8月6日に更新されました。裏を返せば、リストに載った部品は「今のうちに買っておくもの」ということです。
この構造はマツダに限りません。どのメーカーも生産終了から一定期間で部品供給を終えていきます。古い車を長く乗るつもりなら、壊れてから探すのではなく、まだ出るうちに押さえておくという発想が要ります。維持費が読みにくくなる一番の原因はここです。
距離を走った車で最初に効いてくるもの
11万kmを超えたあたりから、消耗品の交換サイクルが目に見えて短くなりました。エンジン内部の汚れ落としに燃料添加剤を使ったり、エアクリーナーを交換したり。ひとつひとつは数千円の話ですが、頻度が上がると効いてきます。
それより厄介なのはゴム類です。ホース、ブッシュ、シール、ソフトトップ。これらは走行距離ではなく年数で劣化します。あまり乗っていない旧車が「距離は少ないのに手がかかる」と言われるのはこのためです。走らせていない期間も、部品は確実に古くなっています。
現在13万キロを超え、年数も23年になったので、ラジエータ本体、ホース類も交換する予定です。
古い車ほど、予防整備のほうが結局は安い
古い車の維持費を抑えるコツを1つだけ挙げるなら、壊れる前に換えることです。
出先で止まると、修理代のほかにレッカー代、代車代、その日の予定のキャンセルまで乗ってきます。工場に持ち込んで計画的に直せば部品代+工賃で済んだものが、路上で止まった瞬間に別の金額になります。レッカー代の実額はJAFのレッカー代はいくら?会員20km無料・非会員27,700円〜 で確認できます。
年数で見ておきたいものは、だいたい決まっています。
- タイヤ|溝が残っていても製造から年数が経てばゴムは硬化する
- 冷却系|ラジエーターホース、サーモスタット、ラジエーターキャップ
- ブレーキ|フルードは吸湿する。パッドの残量とは別に年数で管理する
- バッテリー|古い車は突然死のダメージが大きい。早めに換える
- ゴム・樹脂部品|ホース類、ブッシュ、ワイパー、ソフトトップ
タイヤの製造年月の見方と、ラジエーターキャップという地味だが効く部品については別記事で書いています。
それでも古い車は止まるときは止まります。私がJAFを続けているのはそのためです。保険付帯のロードサービスとの重複は承知のうえで、レッカー距離と、車ではなく人に付く会員資格のために入っています。
→ 旧車・趣味車にJAFは必要か|NB8Cロードスターを持つ立場からの結論
維持費が上がっても、保険で削ってはいけないところ
維持費が増えてくると、真っ先に削りたくなるのが任意保険です。気持ちはわかりますが、ここは削る順番を間違えると一番高くつきます。
削っていいものと、削ってはいけないものを分けて考えます。
| 補償 | 古い車での考え方 |
|---|---|
| 対人・対物賠償 | 無制限のまま。車の価値と相手への賠償額は無関係 |
| 人身傷害 | 残す。古い車ほど乗員保護性能は現代の車に劣る |
| 弁護士費用特約 | もらい事故のときに効く。年数千円なら残す価値がある |
| 車両保険 | 検討の余地あり。時価額が下がると保険金額の上限も下がる |
| 重複している特約 | 他の保険と重複していないか確認して外す |
古い車で唯一まともに検討できるのが車両保険です。時価額が下がると設定できる車両保険金額も下がるため、保険料に対して受け取れる額が見合わなくなることがあります。ただし「古い車=車両保険は不要」と機械的に決めるのは危険で、部品が出にくい趣味車ほど修理費のほうは高くつくという逆転が起きます。
税金は誰が払っても同じ額で、下げようがありません。一方で任意保険料は、同じ補償内容でも会社によってかなり違います。古い車の維持費で自分の判断が入る余地が残っているのは、実質ここくらいです。補償を削る前に、まず同じ条件で他社の金額を見てみるほうが先だと思います。
\ 補償はそのままで保険料だけ下がることもあります /
「維持費がきつい」と感じたときの判断軸
ここまで書いておいてなんですが、維持費だけを理由に古い車を手放す判断は、あまりうまくいきません。
理由は単純で、乗り換えたところで維持費はゼロにならないからです。新しい車には車両価格そのものがかかります。ローンを組めば毎月の支払いが増え、車両保険も高くなり、駐車場代は変わりません。「今の車の年間維持費」と「乗り換えたあとの年間総額」を並べてみると、思ったほど差がつかないことが多いはずです。
それでも判断が必要な場面はあります。私が考える分かれ目は次の3つです。
- 修理が「予定できる」範囲を超えたとき
想定外の出費が年に何度も来るなら、家計として無理がある - 直したい部品が手に入らなくなったとき
お金では解決できない。ここが本当の寿命 - その車に乗る理由がなくなったとき
好きで乗っているなら維持費は納得できる。惰性なら納得できない
逆に言えば、まだ部品が出て、直したいと思えるうちは乗ればいいと思っています。
趣味車の維持費は生活費ではなく趣味の費用なので年間10万円かかったとしても、それを高いと感じないなら問題は起きていません。
判断の材料になる記事をまとめておきます。
- 車を乗り換えるなら維持費・保険・税金も込みで考える|総額で判断する乗り換え術
- 車を売るときに損しない方法|下取り・買取・一括査定の違いと判断基準
- ロードスターなどスポーツカーを納得して売る方法|趣味車の査定で損しないコツ
よくある質問
13年落ちの車は本当に維持費が高いのですか?
税金だけで見れば、1.5L超2.0L以下のガソリン車で年間1万2,500円ほどの増加です(自動車税+5,900円、重量税+6,600円)。この金額を「高い」と感じるかどうかは人によりますが、車を維持できなくなるほどの差ではありません。実際に負担が大きくなるのは修理費のほうで、そちらは年式より車の状態と部品の供給状況で決まります。
18年を超えると何が上がるのですか?
自動車重量税だけです。自動車税は13年超の段階で重課され、そのあと18年で追加の重課はありません。重量税は1.5t以下の車で34,200円から37,800円へ、車検1回あたり3,600円上がります。
ハイブリッド車や電気自動車も13年で重課されますか?
されません。電気自動車、天然ガス自動車、メタノール自動車、ガソリンを燃料とするハイブリッド自動車は重課の対象外です。重課の対象はガソリン車・LPG車(13年超)とディーゼル車(11年超)です。
旧車の税金が安くなる制度はありますか?
日本にはありません。一定年数を超えた車を文化財的に扱って優遇する制度がある国もありますが、日本の制度は逆で、古い車ほど重く課税する設計です。2026年4月の税制改正でもこの点は見直されませんでした。
車検は安いところに出したほうがいいですか?
古い車の場合、車検基本料の数万円よりその場で提案される追加整備の判断のほうが金額を左右します。安さだけで選ぶと、指摘してほしい箇所を素通りされることがあります。古い車を理解している工場に継続して見てもらうほうが、結果的に安く済むことが多いというのが私の実感です。
まとめ|上がるのは税金、効いてくるのは部品
- 年式で自動的に上がるのは自動車税(13年超・おおむね15%)と重量税(13年超・18年超)だけ
- 1.8Lクラスなら増加分は年間12,500円ほど。維持できなくなる金額ではない
- 2026年4月の減税は令和元年10月以降に登録した車だけが対象。旧車は据え置きで、重課は継続
- 本当に読めないのは部品の供給。壊れてから探すのではなく、出るうちに押さえる
- 維持費が増えても賠償と人身傷害は削らない。見直す余地があるのは車両保険と重複特約、そして保険会社そのもの
古い車の維持費は、たしかに新しい車より高くつきます。ただ、その中身は「税金で毎年1万円ちょっと」と「いつ来るか分からない修理」に分かれていて、前者は計算できます。計算できる部分を把握しておけば、残りは覚悟の問題になります。
私はまだNB8Cを降りるつもりはありません。部品が出て、直してくれる工場があって、乗るたびに面白いと思えるうちは年7万円台の税金は納得して払える金額だと思っています。


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